広告右往左往

ダイアリーからこちらに引越しました。新しいものはポチポチ書こうと思っています。相変わらず広告屋のおっさんのしがないぼやきでしかありませんが、よろしかったらどうぞ~

コンサルタントとプロデューサー

先日、電通ネットイヤーアビームの及川社長とツイッター上で「コンサルタントとプロデューサーが一緒のフィールドで仕事をすると言うこと」について「つぶやき」あった。何せツイッター上でのジャブのようなやりとりだったので深い話は出来てはないなのだけれど、要旨としては、

1)「コンサルタントと言う職種の人間と、プロデューサーと言う職種の人間が一緒のフィールドで仕事をする機会は意外と少ない」
2)「でも実は成長戦略の策定や実行においては、この二つの職種がコラボすると結構面白い化学反応がおきるんじゃないかな?」
3)「シーズ視点とニーズ視点が交錯するところ生まれるイノベーションをビジネスとして離陸させる時に、おそらくこの二つの職種の組み合わせは面白いことになるんじゃないだろうか?」

と言ったような話だったと記憶しているのだけれど、何せツイッターと言う手段の上で、それもお互い移動中の話だったのでそのままなんとなく流してしまっていた。
でも、改めてこの事を考えてみると、今の自分の立ち位置で抱えている問題やジレンマといった事を解決するヒントがあるかもしれないと思った。

そもそも自分の職能はコンサルタントでもなければ、プロデューサーでも無かったはずで、いわゆる広告会社の「ストラテジックプランナー」と言う立場で、クライアントのマーケティング戦略やら、ブランド戦略やらの立案や、広告キャンペーンの企画立案、実施管理までをやっていた。広告会社のプランナーと言う職種は、ある意味「中途半端」、よく言えば「守備範囲が広い」とも言え、コンサルタント的な立ち位置で話をすることもあれば、クリエーターモドキになってみたり、はたまた営業(プロデューサー)になってみたりと、「専門的な職種」として成立しているのだろうか?と思うような仕事ではあるけれど、やろうと思えばクライアントの懐に飛び込んで、そのマーケティング・コミュニケーションのバリューチェーン全体をグリップする仕事をする事も出来る可能性を秘めている。

そして、自らが決して「優秀なプランナー」で無かった事もあって、いつの日からか「課題にフィットした突破力のあるチーム」のために「優秀な仲間(社内外を問わず)」を集めてディレクションすると言う、「プランニングをコアスキルとしたプロデューサー」的な立ち位置で仕事をする事が多くなっていった。(まぁ必ずしも、それが広告会社の中のプランナーとしての評価を上げるわけでも無いので、本人的には悩ましいところでもあったけれど。)何年か前、「プランナーと言う職能を持った営業職」と言う機能を組織的に試行する試みがあり、自らも営業セクションへ席を移して仕事をした時に、ますます「プランニングをコアスキルとしたプロデューサー」と言う立ち位置での仕事の仕方をする事が多くなり、広告会社の営業の一つの雛形なのだろうなと言う感触を掴んではいた。

私の勝手な解釈でいうと、

「コンサルタント」はクライアントの課題を探索、発見し、治癒のための処方箋を描く(もちろんきちんと実行できる現実性をもって)。その事を以て対価を請求する。

「プロデューサー」はコンサルタントの描き出す処方箋に沿った具体的な解決策にフィットする方法を、数多くのシーズの中から発見、構成し、その実行にコミットする。

といったイメージだ(反論もあると思うけど)。要は両者とも「クライアントの課題解決」をビジネスにしているのに変わりはないのだけれど、プロデユーサーの方がより「金の匂い」のするサイドに居て、コンサルタントの方がより左脳よりなところにいるって感じだと思うのだ。
実際には優秀なコンサルタントはプロデューサーでもあるし、有能なプロデューサーはクライアントの良きアドバイザーでもあったりするので、それぞれのカテゴリーの一流のプレイヤーは、ごくごく接近したところにいるのだと思う。それ故、この二つの職能の人が一緒に仕事をする機会が少ないのかもしれない。
でも、「クライアントのニーズ」のすぐ側にいるコンサルタントと、解決手段として構成出来る「シーズ」の側にいるプロデューサーが組むことで、より効率的だったり効果的だったりする仕事が、本当は出来るのじゃ無いかなと思うわけで、そういった座組を意識して作ってみるのも、ちょっと面白いかなと感じている。
その為には何よりも、きちんと金と解決策のシーズを引っ張ってこれる「本当のプロデューサー」をもっともっと育てないとダメだなぁと感じる。「一流のコンサルタント」も確かに少ないとは思うけれど、日本のビジネスシーンでは、むしろ「一級の人たらしなプロデューサー」の方が稀少価値なのかもしれないと。
そして、プロデューサーの方が様々な領域(もちろん映画やテレビを始めとして)にその可能性を秘めている人材が隠れていて、それを見つけて磨き上げる余地が残っているような気がしている。