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30分ブリーフィング

ここ半年ばかり仕事の内容が変わって、同じ企画仕事でも「クライアントさま向け」の提案作業だけでなく、「自分の会社の事業戦略企画」のような話に関わらざるを得なくなった。
必然的に自分の会社の役員のや、ラインのマネージャーの人たちに対してその内容を説明する機会が激増しており、クライアントサービスとしての企画やプレゼンとまた変わった難しさに直面することになっている。

そう言った日々の仕事の中で、非常に大切だと感じているのが、「どんな複雑な話でも30分で説明と質疑を完了させる技術」だ。
良く「エレベーター・ブリーフ」(エレベーターの中の数分間で、上官に対して状況を理解してもらえる形でブリーフをする行為)なんていう事が言われていて、上司に対しては簡潔にして明瞭に報告するのが肝要、と言った事がビジネス書などにはかかれている。
最近ではエレベーターのスピードも速いからそのスピードの中での理解は難しいかもしれないけれど、経験的には一つの案件を30分以内に片づけると言う事が、案件をスピーディに進展させるためのコツのような気がしている。

どの会社でもそうだろうけれど、「会社の偉い人」と言うのは殺人的なスケジュールの中で、様々な報告を受け決断をしているため、たとえ打ち合わせの時間を一時間貰っていても、集中して案件に取り組んで貰えるのは30分くらいなのではないだろうか?
もちろん、もっと長い時間の議論になると言う事も多々あるのだけれども、自分の言いたい事をきちんと伝えて、核心部分を理解してもらい、かつ意見を述べて貰ったり、決済をしてもらうためには最大30分以内で決着するような段取りが必要と感じている。
特に、「何らかの結論」をその打ち合わせの中で出してもらって前へ進めたい案件であればある程、この原則に沿った資料と段取りの用意が必要と思う。
長い会議は、得てして「じゃぁその件は引き続き検討って言う事で」と言う話になりがちだから、目的の全てが承認されなくても、なんらかの進展を約束する「決定」を持って打ち合わせを終了するように心掛けないと、なかなか物事が進まない。
そのために何か特別なノウハウがあるのかと言われば、これと言って特別な事は無いような気もするけれど、一番大事なことは「コンテンツを盛り込みすぎない」と言う事ではないだろうか?
どんな課題も複雑に見えても「決めて欲しいこと」はどんな時でも比較的シンプルにする、と言うのが原則だと思う。
その「結論に至る選択肢」をロジカルかつ明快に提示し、かつ「リコメンドする方向」も合わせて提供することで、デシジョンメーキングをサポートすると言う事に徹した資料づくりと、ブリーフィングを心がけると言う、とってもオーソドックスな事を着実にするという事じゃないかと思う。

まぁ考えてみればクライアントさんへ向けてのプレゼン作業でも同じことで、「何らかの結論や言質」をプレゼンしたその場で獲得することのできないプレゼンは、あまり効果的とは言い難いし、そのためにも聞き手の側がすっきりと飲みこめる形にパッケージングした「出し物」を準備しておく必要がある。
広告会社のプレゼンって、どうしても「自分たちはこーんなに色々出来るんですよ〜」と風呂敷を広げがちになるのだけれども、クライアントさんが聞きたい話は「自分たちの課題に対してどうやって答えてくれるの?」って事なのだから、そこにフォーカスをしないとダメなのは明白。
そういった意味では、どんなプレゼンも30分ですべてを理解してもらえるような構造、と言う事を念頭において組み立てを始めるのも大事なことかもしれないなぁと、改めて思ったりもしている。