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「Being digital 2007」 その2

Ⅱ-2.スケーラビリティと言う考え方

「デジタルの世界は、本質的にスケーラブル【拡張や変更が自由】なものである。」 とネグロポンテは主張している。
アナログなシステム、或いは考え方の下では新しいものや事が登場する時には、古いシステムや考え方が「過去のもの」として捨てられ、新たなシステムや考え方がそれらの過去に置き換わる形で登場すると言うスタイルを採る事になる。
これに対して、デジタルの世界では新しいものや事の登場が、連続的、有機的な成長と言う形で連続的に現れてくると言う特性を持っている。
ビット化されたプラットフォームの上で展開される広告・コミュニケーションも、このスケーラブルな考え方から逃れる事は必然的に出来なくなる。
例えば、ある時期にテレビでON-AIRされる事を想定されて制作された広告表現であったとしても、ビットの特性である「自動適応性」によってデジタルなプラットフォームの上で、再編集が行われ、You Tubeの上で発信者側の想定された期間を超えて視聴されると言った事が既に起きている。
これは広告キャンペーンの期間と言う時間軸を拡張、変更してしまっていると言う事であり、発信者側の意図を超えた形で、デジタル世界のスケーラビリティの中に好むと好まざるに関わらず、コミュニケーション・ビジネスが置かれていると言う事の証左といえる。
この事はまた、特定のエリア(国、地域)でのON AIRを想定して考えられていた広告表現が、インターネットと言うボーダーを越えるインフラの上で展開される事で、発信者側の意図を超えた範囲のターゲットへのリーチを獲得してしまうと言う事を生じさせ、露出予定のエリアと言う空間軸の拡張、変更と言う事が起きてくると言う事を表している。
前章で見てきたビットの特性である、「自動適応性」、「自己記述性」と言う性質が、スケーラブルな空間であるデジタルワールドの中で飛び交うと言う事を前提に置いた「情報設計」を行うための方法論、組織と言ったものを装備する事が、本来的な意味でデジタル化してゆくコミュニケーション環境へ広告会社が対応し、新しい形でのIMCプランニングを行うと言う事なのでは無いだろうか?

「Being digital 2007」 その3へ続く